2024-11-15

ハシディズムの説話の例

人生の知恵を伝える方法の1つとしてハシディズムでは説話が用いられるという投稿をハシディズムの説話の力という題目で2ヶ月半前に配信しました。

東欧ユダヤ人の話し言葉であったイディッシュ語で元々語り伝えられていたものが起源で、東欧のおけるユダヤ教の伝統に従ってヘブライ語に翻訳され、文字では多くがヘブライ語で伝えられてきています。そのかなりが英語とロシア語に翻訳されています。

日本語で読めるハシディズムの説話のまとまったものとしては、マルチン・ブーバーが収集・加工した選集の日本語訳がありますが、もう絶版になっています。

ハシディズムの説話には大別しておそらく最低でも2種類があることに気づきました。1種類目は「義人」とされるラビたちの言行録で、2種類目は彼ら自身がハシディズムの教えを盛り込んで書いた寓話です。

前者の種類で語られているラビたちの中でも個人的に特に好きなアニポリのズシャにまつわる説話をここで2つ日本語でご紹介することで、ハシディズムの説話について知るのではなく、そのものを実際に味見してもらいたいと思います。このアニポリのズシャは人生で多くの苦難を味わい続けたにもかかわらず、子供のような無邪気さを備えていることでよく知られています。この無邪気さは彼の言葉にもよく表れています。

こうした毎週金曜日の投稿の配信通知を行っているラインで毎週日曜日には「ユダヤ流人生の問と答の例」というものを無料配信しています。今度の3月から始める予定のユダヤ流人生の問という講座ではこの内容を毎回掘り下げていきたいと思っています。そしてこの講座の毎回の授業の初めには、私がヘブライ語から日本語に訳すハシディズムの説話を毎回1つのテーマに絞って口頭でご紹介していくことも考えています。

それでは、前置きはここまでにして、説話を始めます。

涙の力

ズシャの妻は彼に毎日離婚を迫っていました。そのせいで彼の心はとても重くなっていました。

ある夜彼は妻を呼んで、「これを見てごらん」と言って、涙で濡れた枕を見せました。それから彼は続けてこう言いました。「誰であれ誰かが最初の妻と離婚すれば、祭壇までもが涙を流すとタルムードには書いてある。この涙で枕が濡れたんだ。これ以上私に何を望むと言うんだい。これでもまだ離婚したいのかい。」

それからは彼の妻は静かになり、静になると幸せになり、幸せになると良い妻になりました。

ズシャの所に行って、聞いてみなさい

ある男がハシディズムの指導者の所にやって来て、「良いことに感謝するのと同じように悪いことにも感謝しなければいけないという教えがあるが、こんなことは一体人間には可能なのか。」と尋ねました。

すると、この指導者は「この質問の答を見つけるには、私の弟子であるアニポリのズシャの所に行って、聞いてみなさい。」と答えました。

この男は早速ズシャの元を訪れました。この同じ質問をする前に、ズシャの暮らしぶりと振る舞いを観察していると、貧乏なだけでなく、家族が病気に苦しめられてもいるのに、良いことに感謝するのと同じように悪いことにも感謝するという教えを体現していることにすぐに気づきました。

そこで、この秘密を知ろうと、この男はズシャの師にしたのと同じ質問を彼にもすることにしました。「良いことに感謝するのと同じように悪いことにも感謝しなければいけないという教えがあるが、こんなことは一体人間には可能なのか。」という質問です。

これを聞いたズシャは、「いい質問だね。でも私の先生がなぜあなたを私の所によこしたのか、私には分かりません。人生の苦しみに会っている人の所に行って、聞いてみるべきでしたね。」と答えました。

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