「自己実現」という表現があり、これを謳い文句にした自助論の本も色々出ています。皆さんもこうした本を読まれたことがあるかもしれません。
こうした本の多くで語られている自己実現とは、自分の願いを叶えることになろうかと思います。そしてここで言う「自分」とは、これまでの連載で使った言葉をまた使えば、幻想の自分(=自我)ということになります。自我の願いは、本当の自分(=魂)に必要なことであるとは限らないことを考えれば、自我の願いを叶えるという意味での自己実現は問題をはらむということにもなります。
自己実現を目指すのはよくないことになってしまうように思われますが、ここで言う「自己」を幻想の自分ではなく本当の自分を指すものと再解釈すれば、自己実現は問題をはらまないだけでなく、目指すべき目標ということにもなります。
それでは、本当の自分に必要なことを叶えるという意味での自己実現とは具体的には何を指すことになるのでしょうか。それは、本当の自分に必要なこととは相反する自我の願いを突き止め、それをできるだけ手放すようにすることです。
こうすることで、本当の意味での自己実現を邪魔している障害物が取り払われて、自然に自己実現につながるということになります。つまり「足し算」によってではなく、「引き算」によってという、普通の直感に反する方法です。
さらにそれでは、本当の自分に必要なこととは相反する自我の願いはどうやって突き止めたらいいのでしょうか。この問に直接答える代わりに、本当の自分に必要なこととは相反しない自我の願いとは何かの代表例を紹介しておきます。それは肉体の維持に必要は肉体の要求を叶えることです。つまり肉体とその要求がすべて悪というわけではないのです。
ただし、本当の自分に必要なこととは相反する自我の願いからくる肉体の要求は色々あります。その代表例はアルコールや薬物の渇望です。