霊的眠りと題した前回の投稿で、言語によって生み出される思考に支配されてしまっているだけでなく、このこと自体にも気づいていない状態のことを霊的眠りと呼びました。
この続編となる今回の投稿では、私自身どうやってこの眠りの状態から目を覚ますことになったのかという個人的体験、そしてそれに基づいて、さらには関連するたくさんの本や講義を漁って調べたことから浮かび上がってきた目覚めの方法についても簡単にご紹介したいと思います。
個人的体験
霊的眠りから目覚めることになったのかをお話する前に、「先史時代」つまりどんな霊的眠りの状態にあったかという話を簡単にしてみます。これは別の文脈でもしたことですが、今回は霊的眠りという特殊な視点から自分でも見つめ直してみます。
この「先史時代」が期せずして突然終わりを迎えることになる前の私は、思考、それも否定思考と完全に一体化していました。まさに「我思う、ゆえに我あり」の状態でした。他人の些細な言葉と行動に一々怒っていたのです。そしてこの怒りを一時的に鎮めるために逃げていたアルコールが入ると、怒りはさらにますという悪循環に陥っていました。
怒りを言葉で爆発させることはしらふの状態では普通ありませんでしたが、アルコールが入った状態では自制心を失って、怒りが言葉で爆発することがよくあり、対人関係で問題を起こしていました。これが頂点に達したのが、元妻のお母さんに酔った勢いで暴言を吐いてしまった時でした。元妻からは翌朝離婚を宣告されました。
自分自身の、そして心配してくれた周りに人たちの努力にもかかわらず、結局離婚を避けることはできませんでした。このことに抵抗し続ける代わりに、自分の責任と無力さを認め、現実をありのままに受け入れることにした時に、突然心が鎮んで、長いこと味わったことがないような心の平安も感じました。そして驚いたことに、あれほど好きだったアルコールが突然飲みたくなくなったのです。以来、飲みたいと思ったことは一度もありません。
この不思議な体験をその後考え続けてみると、自分でも一番しっくりくる説明は、あまりのそれも突然のショックで自我が崩壊してしまったというものです。これまで本当の自分を覆い隠していて自我の厚い思考の雲の間に裂け目が生じ、この裂け目の間から本当の自分の輝きが顔を出したのです。
そして(否定)思考を生み出していた自分を観察する自分がいることにも初めて自覚するようになりました。つまり「我思う、ゆえに我あり」という場合の、前者の「我」と後者の「我」とは全く別物であることが頭でだけでなく、直接体験として分かったのです。これが長年の霊的眠りから目覚め(させられ)た記念すべき瞬間でした。
自分の意志とは無関係に目覚め(させられ)る方法
私が体験したのがまさにこの方法です。こうした経験は何も私だけの特別なものでなく、同じ経験を通して霊的眠りから目覚めることになった人は他にもたくさんいるはずだと思って、本を色々探していたところ見つかったのが Extraordinary Awakenings という英語の本です。この本の著者である Steve Taylor は個人自我と集団自我の両方を含む自我からの目覚めについて何冊も本を出しており、それらも全部読み、多くの気づきが得られました。
この本で扱っているのは、大きな挫折や試練を含むトラウマ的体験によって自我が崩壊し、霊的眠りから目覚め(させられ)るという、自分の意志とは無関係に起こる種類の方法です。
自我の否定思考とますます一体化していくようになると、つまり霊的眠りはますます深まり、終いにはこうしたトラウマ的体験に至るという可能性は誰にでもあります。できれば、他の人には体験してもらいたくないと思っています。ひとつには、トラウマ的体験があっても、霊的眠りから目覚め(させられ)るか確実ではないから、もうひとつには、トラウマ的体験の克服は本当に大変だからです。この体験は私にとって一種の原点になっています。
自分の意志で目覚める方法
本当の自分から逸脱し、それに合わせて人生も自我に支配されたものになっていくと、「宇宙」からの「目覚まし時計」が鳴り始めるようになります。目を覚ませという知らせです。その音は最初はほとんど聞き取れないものですが、無視していると、少しずつ高くなり、終いには目を覚まさざるをえなくなります。普通の目覚まし時計と同じように、この「目覚まし時計」の場合でも、まだ鳴り音が低いうちに目を覚ましておくのが賢い選択ですが、かつての私自身を含めて、多くの人は残念ながらそうはなっていません。
トラウマ的体験に至る前に、重い腰を上げて、自分の意志で霊的眠りから目覚めようとする場合、一番手っ取り早いのが呼吸瞑想です。呼吸に思考・感情移入させられる人はまずいません。だから、呼吸に意識を集中させると、思考の波が止むのです。そしてこれを一定期間続けていくと、自分の思考を観察できるようになっていきます。つまり、思考との一体化から離れていくのです。これはとても効果的で、しかも簡単にできるので、皆さんのぜひ試されてみてください。最初は10分間、目標は20分間です。思考の波が完全に止まることはありませんので、呼吸に合わせていた意識が思考の方に戻ってしまったら、呼吸に戻すということをひたすら繰り返すだけです。脳の神経回路の書き換えにかかる期間とされている8週間続ければ、それなりの効果があるはずです。
これ以外ですぐに効果が感じられるものとして私自身試し、今でもちょくちょくお世話になっているのが、ハシディズム音楽を聴くことです。ハシディズム音楽は、魂から出て魂に届く音楽とも呼ばれています。知性を超越した方法と呼んでもいいでしょう。実はこの投稿もハシディズム音楽を聴きながら書いています。個人的なお勧めは Chabad.org Jewish Music App です。オンラインでもスマートフォン用のアプリケーションでも聴くことができます。
効果が出るまでには時間がかかるかもしれないものの、それはより永続的になる方法としては、知性の助けを借りた学びです。言ってみれば、知性を使って知性を超越するということになります。個人的に試し続け、霊的眠りから目覚めた後でまた元の眠りの状態に戻らないようにするためにも大きな効果を感じてきました。具体的にはどういう学びかというと、いわゆるスピリチュアリティーの教えを学ぶことです。私が学び続けているスピリチュアリティーの教えは、ユダヤ流ではハシディズムが、それ以外では例えば Eckhart Tolle と Adjashanti という2人の霊的師に特に深い影響を受けました。
ハシディズムの教えに関しては、この私塾を通して、講座とコーチングという形で日本の皆さんに提供しています。
PS: 「ユダヤ流人生の知恵」の提供内容・ウェブサイトの見直し・整理
今回の投稿のせいもあって、この私塾「ユダヤ流人生の知恵」で提供している内容を見直し整理しました。これに合わせて、ウェブサイトの内容も見直し整理してみました。まだウェブサイトを見られたことがない方は、そしてもう見られたことがある方も、覗いてみてください。特に、なぜこの私塾を日本で立ち上げようと思ったのかについては、心を込めて書いています。